成長戦略の達成や目指す姿を実現し、従来の枠にとらわれない新たなビジネスモデルや顧客体験価値を創出する当社の重要な経営資源のひとつが、個性豊かで多様な組織・人材です。私たちは重要な経営戦略としてこの強みを活かしたダイバーシティ経営を推進し、人事戦略と連動した施策や職場環境づくりを通じて働きがいを高め、従業員ウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。当社で働くすべての従業員をアダストリアの成長の原動力と位置づけ、それぞれの個性や能力を発揮することでさらなる事業成長へとつなげるとともに、ビジネスを通じて地域社会やステークホルダーの皆さまの豊かな暮らしと発展に貢献します。
ダイバーシティ経営を通じて中長期の企業成長を後押し
— 多様性を尊重し、失敗を恐れず挑戦できる環境づくりで「なくてはならぬ人」を育成 —
女性の活躍支援を通じた組織の多様化
正社員の約75%を占める女性の活躍推進は、当社のダイバーシティ経営における重点課題の一つです。アパレル商品の約80%はウィメンズで構成されていることから、女性の柔軟な視点や多様な意見を反映させたより良い商品・サービスの提供が、高い財務パフォーマンスおよび顧客満足度に直結していると考えます。担当役員を含む部署横断のプロジェクトチームによる推進体制のもと、「2025年までに女性の管理職比率45.0%以上、上級管理職(部長職相当以上)の女性比率を30.0%以上にする」ことを具体的目標に掲げ、継続した取り組みを行っています。2023年2月期からは女性社員と経営陣との座談会開催や、男性で構成されていた経営会議への女性社員の参画を開始。これらは女性幹部候補の育成と議論の活発化、さらに経営層の意識改革へとつながっています。
具体的な取り組み
女性役員や管理職候補の育成・登用について定期的に経営会議やサステナビリティ委員会で議論、適宜報告を行い、戦略的に人材プールの形成を行っています。ダイバーシティに関する勉強会や講演会の開催、メンター制度の運用に加え、2022年より女性社員と経営陣との座談会開催、男性で構成されていた経営会議への女性社員の参画を開始したことで、女性幹部候補の育成と議論の活発化に加え、経営層の意識変革に繋がっています。
また働き方の面では、2007年より仕事と育児の両立支援をスタート。独自の休暇制度、相談窓口の設置や、育児の状況に応じて働き方を選択できる制度など仕組みを整え、子育てする女性にとって安心して長く働ける体制が実現できています。当社女性社員の産休取得率は99.4%、育休復帰率は98.8%(2023年2月期時点)と、現在でも育休取得後に女性がキャリアを築ける環境は整っていますが、子を持つすべての従業員がライフの時間を充実させる環境を整備することは、ウェルビーイングの実現、生産性や企業価値向上に繋がると考え、2023年より共働き・共育てを可能にする両立支援として、男性社員の育休取得を強化、産休・育休専用の社員向けポータルサイトをつくるなど周知や環境整備にも着手しています。
2023年度は経営層向けの「ダイバーシティ勉強会(全2回)」や、女性特有の健康課題をテーマに管理職向けセミナーを開催するなど多角的なアプローチを行いました。また、ジェンダー関係なく安心して育児休業が取得できる環境を整備し、仕事と育児の両立支援を通じてエンゲージメントを高め、女性がキャリアを中断することなく長期的に活躍できる環境づくりを構築します。
キャリア拡大や両立支援の取り組み
キャリア拡大支援プロジェクト「キャリカク」
店舗で働く従業員がキャリアを自分で考え、挑戦できる機会を生み出すキャリア拡大支援プロジェクト「キャリカク」を2022年9月より実施しています。「店舗にいながら関心分野にもっと積極的に関わりたい」「自身の個性や強みを活かしたキャリアを形成したい」「販売に付随する分野でさらにステップアップしたい」といった店舗従業員の声を拾い実現しました。地域に根差し地域活性化イベントや地域企業コラボを企画・運営する「地域プロモーション」、販売スペシャリストとして店舗の接客スキル向上を担う「SSC*認定講師」など、大きく5つの役割を新たなキャリアステップとして設定しています。常にお客さまの声やニーズ、地域特性を汲み取り店舗で活躍する従業員は当社の成長を支える原動力です。自分のキャリアを自分で描き、いつまでも働く“ワクワク”を持ち続けられるよう支援していきます。
*SSC…Service Skill Certificationの略。顧客満足度を向上させ売上につなげていくとともに、スタッフのモチベーションや販売員の地位向上を目指した店頭で働く全スタッフを対象としたアダストリア独自のスキル認定制度
従業員ウェルビーイングの実現
健康経営推進に対する考え方
ファッションを楽しむためには、健康であること、そして自分らしい豊かな時間を、家族や大切な人とともに長く過ごせることが必要です。当社は「Play fashion! Play wellness!~ファッションと人生を楽しんで、もっと健康に、もっと自分らしく~」をスローガンに、2022年度より健康経営を推進しています。健康経営の「土台づくり」や「従業員への浸透」を図り、健康診断等における全従業員に対する疾病の発生予防などの取り組み推進が評価され、経済産業省が日本健康会議と共同で主催する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に2年連続で認定されました。仕事も人生も、楽しく自分らしく!それがアダストリアの目指す健康経営です。
健康経営ウェブサイト
アダストリアの健康経営への取り組みと、健康関連指標(データ)はこちらをご参照ください
健康経営推進体制
ウェルビーイング実現に向け、社内公募により選出された従業員が主体となって形成された健康推進委員会「Adastria Wellness Committee(アダストリア・ウェルネス・コミッティ)」が始動しています。従業員のリアルな声や日々変化するニーズを拾い、実態に即した健康増進事業や保険事業への反映に向けた提案をしていくほか、ウェルネスイベント等を立案し実行しながら、従業員自らがヘルスリテラシーを高め、健康維持・増進活動に取り組む風土と環境づくりを醸成します。
2023年度の健康経営施策
健康相談窓口「こころとからだの保健室」を新設
健康経営推進室では、2023年11月よりすべての従業員が利用可能な健康相談窓口「こころとからだの保健室」をスタートしました。メンタルヘルスやフィジカルヘルスに関する悩みについて、専門的な外部相談員や産業保健職(産業医・保健師)だけでなく、店舗勤務やエリアマネジャーの経験がある専任の女性スタッフに相談可能です。チャットツールを用いることで、プライバシーや匿名性を担保しながら気軽に相談できる仕組みを構築しています。
ヘルスリテラシーを高める管理職向けセミナーを開催
— 女性の健康課題やメンタルヘルスなど、テーマ別に理解促進の機会を提供 —
当社は期間雇用者も含めた従業員の女性比率が8割と高く、全国の販売スタッフには若い社員も多いため社員の健康課題に特徴があります。2023年度は部下をもつリーダー層を対象にヘルスリテラシーを高めるセミナーを開催し、婦人科系疾患・生理・不妊治療といった女性特有の健康課題や、メンタルヘルスについて基礎知識を学び、誰もが働きやすい職場づくりに向けて健康課題とどのように向き合うべきか理解を深めました。