近年、国内外で頻発する気候変動による異常気象の発生や自然災害などに対応できるよう、中長期的な視野を持って対策を準備することで経営基盤のレジリエンスを高めていきます。当社の事業領域に影響を及ぼし得るリスク・機会を特定し、適切にステークホルダーの皆さまへ情報開示することで、自社および外部ステークホルダーも含めたビジネスの成長と環境配慮を両立させていきます。
2050年カーボンニュートラルの実現
気候変動は全世界共通の喫緊の課題であるとともに、原料価格の高騰や大規模な自然災害によるサプライチェーンの断絶など当社の事業においても重要なリスクの一つです。このことから私たちは気候変動をサステナビリティにおける当社の重点課題の一つとして位置づけ、2050年カーボンニュートラルを実現することを目指しています。
気候変動に対する私たちの考え方
従来まで国内事業を中心としたCO2排出量の把握に努めていましたが、海外事業の規模拡張に伴い、2023年度は海外オフィス・店舗での活動に伴うCO2排出量を新たに把握することで、国内外の自社領域および自社領域外での活動に伴うCO2排出量まで算出範囲を拡大しました。今後は、Scope3(自社領域外での活動に伴うCO2排出)におけるサプライヤーをはじめとする外部関係者と協力し、排出量データの精度向上ならびにブランドやアイテムごとのカーボンフットプリント(CFP)の算出などを通じて、サプライチェーン全体における温室効果ガス削減計画と施策展開にドライブをかけていきます。
Scope別CO2排出量
気候変動に関する財務影響
当社ではTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに則った情報開示を進めています。
バリューチェーンでの環境負荷軽減に向けた取り組み
効率の良い物流システムの構築で環境負荷を低減
当社では物流活動に伴うCO2排出量を把握するため、ビジネスプロセスにおける環境負荷の影響を明らかにし、適切な削減施策を実行しています。例えば、物流センターでは商品発送時に同梱していた納品書兼領収書の廃止や商品サイズに合わせた段ボールを使用することで、省資源化につながっています。また、輸送効率の向上を目的に、商品配送頻度や積載率向上、共同配送の仕組みづくりなど総合的な改善を進めることで、CO2排出量の削減に寄与します。
お客さまと創る新しいショッピングスタイル
開始から10年目を迎える「REBAG PROJECT」は、2024年2月までに累計1,980万枚のショッピングバッグ利用を削減し、マイバッグの利用を当たり前にする新たなショッピングスタイルを創り上げました。これは1年間に2,626本の杉の木が吸収するCO2量(約23t-CO2)に相当*します。子会社であるアドアーリンクのD2CブランドO0u(オー・ゼロ・ユー)では、株式会社comveyが提供する「シェアバッグ®:ポストに投函することで返却可能な配送バッグ」を選択することができるなど商品の配送形態でもお客さまにサステナブルな選択ができるようなサービスを展開しています。導入後1ヶ月でユーザーの30%以上がシェアバッグ®を選択しています。今後もお客さまとともに、サステナブルな選択をファッションの魅力として楽しむショッピングスタイルを創り上げていきます。お客さまと創る新しいショッピングスタイルを創り上げていきます。
*杉の木1本あたりの年間CO2吸収量を約8.8kgとした場合
生物多様性&自然資本
私たちの主要事業であるアパレル小売ビジネスは自然資本に多くを依拠していることから、事業活動全般において、環境のみならず生物多様性にも配慮したビジネスを推進することを心掛けています。地球環境や生物多様性に配慮しなければ、企業活動そのものが成り立たず、私たちの商品・サービスがお客さまに受け入れられなくなると考えています。これまで培ってきた当社の知見や新たなソリューション技術等も駆使しながら、原料調達から廃棄・リサイクルまでの事業活動の各プロセスにおいて、自然の恩恵に依存している事柄、自然に影響を与えている事柄を整理していきます。
海洋プラスチック流出防止に向けた取り組み
近年、海洋汚染の原因の一つとして考えられている衣服等から発生する「繊維くず」。私たちはアパレルを扱う企業としてこの問題解決に取り組む重要性を認識しています。当社ビジネスを通じた解決手法の一つとして、繊維くずの流出を80%低減*することができる洗濯ネット「FIBER HOLD BAG」を販売しています。これは通常のものよりも細かい網目(0.05mm) の生地を使用し、当洗濯ネットで捉えられた微細な繊維くずが流出しにくい機能を有しています。洗濯時の環境配慮とともに衣服の摩擦劣化防止にも寄与する、当社ならではの商品です。
*繊維くずの流出抑止効果は洗濯ネット未使用の場合と比較した場合