アダストリアのメンバーが大切にしている「Play fashion!」の正体を探る「A-People」。自分にとってファッションとはどんな存在なのか、そして、ファッションや仕事をどんな風に楽しんでいるかを紹介していきます。今回登場するのは、中国・四国支店でエリアマネジャーを務める伊澤嶺さん。自分がゲイであるとカミングアウトして働く彼の「Play fashion!」に迫ります。
「みんな違う」だからこそ、
「性別の違い」だって気にならない。
入社して最初に働いたお店は「ローリーズファーム」。女性向けですし、それまでの自分には馴染みの薄いブランドでした。でも、当時、僕の働く店舗の担当だったエリアマネジャーが男性だったり、近隣店舗で働く先輩にも男性がいたりと、意外と男性のスタッフも活躍していたんですよね。しかも、その人たちがとてもイキイキと働いている姿を見て、自分もそうなりたいと考えるようになりました。実際に働いてみて改めて感じたのは、性別の違いってそんなに重要じゃないということ。お客さまは、年齢も、好みも、探しているお洋服も、ぜんぶ違うんですよ。むしろ、同じ部分を探す方が難しいぐらい。いろんなお客さまと触れ合えたあの日々は、本当にステキな経験になりましたね。今はエリアマネジャーとしてよりたくさんのブランドに関わるようになりましたが、当時の経験は今でも仕事のいろんなシーンで活かせています。
自分らしく働くこと。
それが、僕のなりたい姿だった。
実は僕、自分がゲイだとカミングアウトして働いています。きっかけは「OUT IN JAPAN」に参加したこと。「OUT IN JAPAN」とは、セクシュアル・マイノリティの方々がポートレート撮影を通じてカミングアウトをするプロジェクトのこと。アダストリアでは、衣装の提供やイベントのサポートをしているんです。そこにイベントスタッフとして参加した際、被写体としても撮影に臨み、みんなに公表するかたちになりました。
カミングアウトって、絶対しなくちゃいけないものでもないんですけどね。実際、カミングアウトをしないという選択をする人もたくさんいると思います。それでも僕が決意したのは、当時お付き合いしていた彼氏のおかげ。彼は、ゲイであることをオープンにして働いていました。職場で受け入れられている様子や自分らしく働いている姿を見て、僕もそんな風になりたいと考えるようになり、一歩を踏み出すことができたんです。
嘘をつかないって、
こんなにも気持ちがいい。
カミングアウトしてから、環境が大きく変わることはそんなになかったですね。ダイバーシティに関する会社のイベントに呼んでいただける機会が増えるなどの変化はありましたが、職場の環境や上司や部下との関係性は今まで通り。相変わらずの態度で接してくれています。変化があったと言えば、「僕自身」かな。それまでは、みんなと話していてもどこか自分を出し切れていない感覚がありました。例えば、「彼女いないの?」と聞かれても、「いや〜、なかなかできなくて」や「別れたばっかりなんです」など、小さな嘘をついてばかり。「みんなは僕を信頼して何でも話してくれているのに」と、どこか罪悪感がありました。嘘をつく必要がなくなった今、いつでも本音で、自分をさらけ出せるようになったんです。
挑戦の先にあるのは、
新しい「自分らしさ」。
これは自分にも当てはまるんですが、先入観でファッションを決めつけていることって結構あると思うんです。ブランドイメージだけで「どうせ自分には似合わないだろう」と思い込んだり、雑誌のスタイリングを見て「背が高くないからきっと着こなせない」と諦めてしまったり……それ、すごくもったいない!
新しいブランド、いつもと違うスタイリング、普段は選ばない色や柄……いろんなジャンルに挑戦した方がファッションの幅も広がるし、新しい自分に出会うチャンスも増えると思うんですよね。お買い物の途中でいつもと違うショップに入ってみたり、普段は着ない組み合わせを試着してみたり……そうすると、「あれ!?意外と似合うじゃん」「こんな自分もアリなんだ」と思える瞬間がどんどん増えていくはず。いろんな挑戦をして、新しい自分に出会うこと。それもひとつの「Play fashion!」ですよね。