アダストリアの社内事業提案プロジェクト「PROJECT A」より生まれた「Play fashion! for ALL」。「スタンダードを、変えていこう、広げていこう。」をコンセプトに、さまざまな立場の人の視点や想いを大切にしたファッションを生み出しています。
プロジェクトリーダーであるマーケティング本部の坂野世里奈(ばんのせりな)さんを筆頭に、特例子会社アダストリア・ゼネラルサポート(障がい者雇用の促進と業務の総合的なサポートを提供するグループ会社。以下、AGS)のメンバー3名や社内のさまざまな部署の人たちの協力を経て完成した3タイプのファッション。その試着会が2021年10月24日に開催されました。障がいをもった方々を招いて行われたイベントの詳細をレポートします!
実体験から見いだした、
目指したい社会の姿。
イベントは、プロジェクトリーダーである坂野さんが抱いた想いからスタート!
ゲストのみなさまへ、アダストリアの事業紹介をはじめ、「Play fashion! for ALL」が生まれた背景や、坂野さんがインクルーシブファッションの大切さに気付くきっかけとなった、お父さまの闘病生活などについて説明していきます。
「父の病気や介護を経験し、“お父さん、最後はずっとパジャマ姿のまま過ごしていたけれどそれで良かったのかな、今の社会って、すべての人がファッションを楽しめているのかな?”と考える時間が多くなりました。『Play fashion! for ALL』に込めた想いは、すべての人がファッションを楽しめる社会を創ること。もっともっと“一人の視点”を大切にできるプロジェクトをかたちにしたいと考えました」
熱い想いを語る坂野さん。会場にいるみなさまも、真剣に聞き入っています。
商品にこめた想いを、
会場のみなさまにも伝わるように。
イベントでは、坂野さんと一緒に商品づくりに参加したAGSのメンバー3名も、群馬、山形、茨城と別々の拠点からリモートで話をしてくれました。それぞれの視点で、完成した商品のポイントやこだわりについて説明していきます。
群馬サポートセンターの小林さんと一緒につくったのは「わたしに寄り添う入院パジャマセット」。内部疾患の影響で長期入院を繰り返してきた小林さんにとって、入院時に着るパジャマは最も身近なファッション。「こんなパジャマがあったらいいな」と理想をこめたセットアップになっています。
山形サポートセンターの鈴木さんと一緒につくったのは「車いすユーザーのこだわりカジュアル」。鈴木さんは18歳の頃から車いすユーザーで、日々の服装も「これが着たい」ではなく「介護をしてもらいやすい」など、利便性を重視したものばかり選んでいたそう。普段は絶対に選ばないホワイトカラーをベースに「こんな服があったらいいな」を実現できたと話してくれました。
茨城サポートセンターの伊勢坊さんと一緒につくったのは「低身長さんのカジュアルセットアップ」。身長が約110cmだという伊勢坊さんは、体型的な問題でファッションを選ぶ際にはいつも苦労をしていたと教えてくれました。
商品制作のために行われたミーティングは、ほぼすべてがオンライン。何度も顔を合わせ、「どんなことに悩んでいるのか」「どんな服が欲しいか」という話を繰り返しました。3DCGという技術を駆使したり、サンプルチェックを何度も行ったりと、しっかりと時間をかけて進めていったそうです。完成した商品の詳細は公式サイト ( https://playfashion-forall.jp/)からもぜひご覧ください!
いざ、試着タイムへ。
日々のスタイリングもあわせてご案内。
商品説明を終えた後は、ゲストのみなさまお待ちかねの試着タイムへ!今回、「Play fashion! for ALL」のプロジェクトに協力したいと、全国からサポートに駆けつけてくれた3名の店舗スタッフがみなさまへのご案内を行います。
「niko and ...」京都寺町店所属の関 さん。「GLOBAL WORK」所沢店舗所属の江刺さん。「GLOBAL WORK」高崎店所属の皆川さんです。
会場では、プロジェクトで制作したアイテムをベースに、それらに合うスタイリングアイテムも多数展示。ゲストのみなさまに対して、普段のお洋服との組み合わせを提案したり、実際の着心地に関する感想やご意見をお聞きしたりしていきます。
「どう着るか」「どう着こなすか」
さまざまな視点で盛りあがる会場内!
今回、イベントには進行性難病筋ジストロフィーという筋疾患を抱えながら、シンガーとして活動をされている小澤綾子さんや、パラ・パワーリフティングなど、車いすユーザーとしてさまざまなパラスポーツに挑戦している桐生寛子さん、デザイン研究者のlailaさん、理学療法士の内田直生さんなど、16名のゲストの方が来てくださいました。
車いすユーザーとして、福祉の専門家として、ひとりのファッションを楽しむ人間として……さまざまな視点を持つゲストのみなさまに、スタッフが丁寧にご案内します。
ゲストのみなさまはとても興味を持ってくださっているようで、素材や商品ポイントなどについて、細かく話を聞いていました。
気になったアイテムを持って、実際に試着室へ。
試着姿で集合写真を撮るなど、みなさまとても賑わっていました!さらに、たくさんのご感想をいただくこともできました。その声の一部をご紹介します!
一人の声がかたちになった一着。
リアルな声が続々と。
「とてもいい感じです!パジャマは見た目がブルーで生地感もやわらかいので、涼しく感じるかなと思ったんですが、実際に着てみると想像以上にしっかりしていて、着心地がすごくいいです。ガウンはボタンを締めても、開けっ放しでもかわいいですね。裾のギャザーもかわいいです」
「このシャツ、僕の体型にピッタリでした!多くの車いすユーザーの方が感じていることですが、ホワイト系の色味はやはり汚れが気になってしまいます。でも、このシャツはナイロン生地の幅が広く取ってあるので、擦れ汚れなどをしっかり防いでくれるなと感じました。生地の質感も想像以上にいいですし、タイトなサイズ感なのに、車いすを漕ぐ動作をしても袖が突っ張るということもなく、すごく使いやすい仕上がりになっているなと想いました」
他にも、「雨の日などは袖まわりの他、裾の部分の汚れも気になってしまいがちなんです。腰のあたりにもナイロン加工があると、もっと活動範囲が広がると思いました」「今回はシンプルなアイテムが多いですが、もっと派手な柄や、デザイン性のあるもの、蛍光色の加工などがあってもいいなと思いました」など、たくさんの貴重なご意見を聞くことができました。
試着姿で記念撮影も!イベントには報道陣の方々も参加していて、ゲストの皆さまやAGSのスタッフたちがたくさんの取材に答えていました。最後におみやげをお渡しして、イベントは終了。
「スタンダードを、変えていこう、広げていこう。」を、
これからも。
今回、遠方から参加してくれた店舗スタッフやAGSのメンバーにもイベントの感想について話を聞いてみました。
(参加した店舗スタッフの声)
「ゲストのみなさまと接客の時間が楽しめてすごく良かったです!『Play fashion! for ALL』はインスタグラムなどの活動も盛んで、存在を知ったときからずっと気になっていました。自分も関わってみたい!って。今後、店舗で車いすユーザーの方がご来店されたときにどう対応すればいいのかがしっかりと学べたと思います」
「自分もぜひ『Play fashion! for ALL』に関わりたい!と直接DMを送らせてもらったのをきっかけにイベントのお手伝いをさせてもらいました。今日のご案内では、特別な提案をしているという感覚はあまりなく、いつも通りの接客をしているのと同じ感覚でした。“この袖の部分がもっとこうなっていたらいいのにな”といったアイデアを話し合うのは、いつも私たちが普段の仕事でしていることと同じ。でも、すごくいい経験をさせてもらいました。今回、やりたいと手をあげてみて本当に良かったです」
(AGSスタッフの声)
「記者の方たちから取材を受けるなんて、人生初の体験です!たくさんの方に『Play fashion! for ALL』を知ってもらえて、実際に着てもらっている様子を見て、とても感慨深い気持ちになりました」
「今回のプロジェクトでできた服は僕たち3人の声からスタートしていますが、もっといろんな方の意見を取り入れれば、もっともっといいものができると思います!」
「こんなにたくさんの方が集まっている場面を見ると、すごく嬉しいですね。いろんな方が着ることで新たに見えてくる課題やアイデアがあると思うので、どんな声があったのかぜひ詳しく聞いてみたいです」
また、プロジェクトリーダーの坂野さんからは「みなさんの楽しそうな笑顔がとっても印象的でした!イベントで実際に着用した感想やファッションを選ぶときのポイントなど、一人ひとりからご意見いただけたことは次のステップに進む際にとても参考になります。みなさまと一緒にファッションについて考える時間を持てたこと、とても嬉しく思います」とのメッセージをいただきました。
たくさんのゲストの方にお越しいただいた本イベント。「Play fashion! for ALL」が社会全体で求められているプロジェクトであるということが覗えました。プロジェクトの想い「すべての人が、ファッションをもっと楽しめる社会を創る」がどんな風にひろがっていくのか、とても楽しみです!